FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

【書評/読書感想】「勝利のルーティーン -常勝軍団を作る、習慣化のチームマネジメント-」(西野朗)

遂にJリーグが開幕しました。今シーズンも色々と注目点はあると思うのですが、個人的には我がガンバ大阪の動向以外では西野朗監督のグランパスでのチャレンジに注目しています。ガンバでの10年間が西野監督の株を高めた訳だけど、ヤットやフタ、ハッシー、智とタレント的にも選手は揃っていた中の結果であり、本当に手腕が問われるのは今回のチャレンジではないかと。

という事で、そんな新たな西野朗監督のチャレンジをより楽しむために西野さん本人著「勝利のルーティーン」を読んだ。タイトルの通り、西野監督の監督業の哲学がつまった一冊となっております。

「私が10年間率いたガンバ大阪は、最終的に、本当にスペシャルなチームになったと思う。」

という言葉からスタートする本書は表紙のカバーが青色だったり、構成担当が佐藤俊さんだったりからも分かる通り、完全にガンバ本。グランパスサポも西野監督の哲学を探る意味では読めると思いますが、具体的事例のほとんどがガンバのエピソードですのでご注意を。具体名もバンバン出てくるし、ガンバサポはちょっとした暴露本としても楽しめます。個人的にはヤットに関する記述はお互いに実力は認め合っているけども、同時に微妙な距離感も感じさせるような・・・まあ、深読みし過ぎなのかもしれないけれど。

勝利のルーティーン(西野朗)


■西野朗とガンバ大阪の相性の良さ。そして、マンネリズム


西野監督は戦術に選手を当てはめるタイプではなく、選手の特性から戦い方を模索するタイプ。ただ、理想としての戦い方は持っており、それは「攻撃的」という言葉でも表現できるし、「バルセロナ(クライフ)」の影響も強く受けている事は自他共に認めるところ。それはアトランタ五輪日本代表での守備的な戦い方が批判された事が背景にあるのは有名な話で、攻撃的なスタイルで見返したいという想いを持っている中でそうしたスタイルが合う選手達(しかも、若い)が沢山いるガンバからのオファーがあった事は幸運だったし、西野監督がどういうアプローチでチームを作ろうが最終的には今のガンバのスタイルは確立された気がする。西野監督自身もガンバに関して本書で「相思相愛」「運命的」という言葉で相性の良さを書いている。

ただ、そんな西野とガンバにも終わりが訪れる。長期政権ゆえのマンネリについての苦悩が書かれてある第3章が本書最大の読み所。08年のACL制覇をきっかけに一種のバーンアウトに陥っていたチームを更に成長させたいものの、高レベルに達しているチームを変える難しさがあったと回想。本書のタイトルでもある「ルーティーン」の結果が当時のガンバであって、そこを変えるリスクを西野監督は選ばなかった。実際、変えるという選択をクラブが取ったセホロペ体制では降格という結果に至っているので結果的に西野監督は正しかったのもかしれない。

一方で、リーグ優勝が求められているチームにおいて05年以降リーグ優勝できなかった事も事実で、優勝のために何かを変えなければならなかったけど、変えられない西野監督を交代させたクラブの判断自体は悪くなかった。実際、西野監督自身も本書内で2010年シーズンは長期政権ゆえのコミュニケーション不足は認めており、新加入選手に対してもずっと一緒にいる選手達と同様の接し方をしてしまった事を「マンネリ」がもたらしたのかもしれないとして後悔している。何かを変えられる新加入選手達へのアプローチを間違えたのは痛恨だった。新加入選手がフィットしない事例は多々あったけど、こうした事実も少なからずあった事を知れた。

また、自身が築いたガンバのスタイルが確立しすぎて(?)、試合状況的にパワープレーなど違うスタイルで戦いたいと思っても選手達がついてこなかったという記述も。そのリーダーがヤットだったようで、いつの間にか西野監督以上に選手達が自分達のスタイルに拘っていたというのは何とも微妙。西野スタイルを実践できる選手達は強みでもあり、最終的には弱みにもなったのかもしれない。メンバー固定化の弊害としてJ2降格と共に忘れてはいけない経験。

■西野朗監督は名古屋グランパスで成功できるのか


完全に余計なお世話ですがね。正直、分からないし。ただ、考えるヒントが本書でちょっとだけ書かれているヴィッセル神戸監督時代の話。要は失敗談なのだけど、失敗の要因として「西野監督と神戸のスタイルのミスマッチ」が挙げられている。西野監督は前述で「戦術に選手をあてはめるタイプではない」と書いたものの、長年同じスタイルで戦ってきているチーム(神戸の場合はカウンター)に新しいエッセンスを加える難しさはあったようで、その点で前任者が長期政権だった名古屋は神戸と近い部分はあるかもしれない。(ガンバはこれで降格しました)

ただ、神戸と違うのはシーズン途中の就任ではない事と、技術的に神戸より高い選手が揃っている事。チーム作りは神戸時代よりはスムーズだと思う。それに攻撃的なスタイルが名古屋でも変わらないとして、ガンバではDFの選手から反発もあったようだけど、名古屋のDFリーダーが闘莉王であるという点からその心配も無さそう。いや、むしろ名古屋において闘莉王が一番攻撃的なので逆に西野監督がそれを抑えるという事態が発生するかもしれない。ガンバの専売特許だった「馬鹿試合」が名古屋に奪われる心配が出てきた。とりあえず、ガンバー名古屋の試合が今から楽しみ。

P.S.本書は上記以外にも、06年天皇杯決勝など具体的な負け試合を事例に挙げて書かれている「采配論」や、なぜ国内で活躍した外国人選手ばっかり獲得するのかが分かる「外国人選手獲得論」、オーナー制の神戸では確立できない「クラブ組織論」など結構細かく西野監督の哲学が書かれているので本当にオススメです。ガンバ関連本では過去一番面白かったかも。

関連記事①:【書評/読書感想】「一流のリーダーたちから学ぶ勝利の哲学 今すぐ実践したい指導の流儀」(長谷川健太)
関連記事②:【読書感想】「眼・術・戦~ヤット流ゲームメイクの極意~」(遠藤保仁×西部謙司)

スポンサーサイト

【書評/読書感想】「フットボール百景」(宇都宮徹壱)

お馴染み宇都宮徹壱さんがサッカーダイジェストで2008年から連載していたコラム「フットボール百景」をまとめた一冊。ちなみに、連載のオファーを出したのはガンバサポにはお馴染みの川原崇さんであった事がプロローグで明らかになっており、勝手に縁を感じながらの読書開始。

コラムをまとめている一冊ゆえに共通したテーマは無し。ただ、その中でもキーワードを挙げるのならば「マイナー」とか「多様性」という言葉になる。これは本書だけではなく、宇都宮さんに対して持つサッカーファンの印象と同じかもしれない。Jリーグと日本代表しかほぼ観ない自分としては、この本で「地域リーグ」や「サッカー弱小国」が持つサッカーの魅力を知る事ができる他、最近の宇都宮さんの代名詞的になりつつある(?)「マスコット」への注目など、違った視点も提供してもらえる。

フットボール百景 宇都宮徹壱

宗教や政治といった海外サッカーでは切っても切り離せないテーマからサッカーを書いたかと思えば(文化的側面からサッカーを語れる人は貴重)、大分のマスコットである二ータンがどうとか、海外のビールが美味いみたいな話が出てくるなど、緩急の付け方はまるで我らが遠藤保仁のような・・・ちょっと違うか。

先日感想を書いた「ボールピープル」(近藤篤)も近い雰囲気があったけど、良い意味で「ゆるい」サッカー観戦術も持っている人の言葉をシーズンオフに読めたのは良かった。この力を抜いた自然体で素直にサッカーを楽しむ姿勢は自分を含め、それなりに長年サッカーを観てきている人ほど忘れている部分なのかもしれないなぁと。試合を観ては課題を指摘して、応援するという行為に対しても「サポーター論」だとか難しい事を言い始めて、単純にもっと気軽にサッカーを観て、サッカーを楽しむ事を取り戻したい・・・そんな事を思わせてくれる一冊でした。

※過去の書評/読書感想のエントリーはこちら

ご意見、ご感想は下記SNSをご利用下さい

【書評/読書感想】「サッカー依存症」(武智幸徳)

■新聞記者が書く海外サッカー紀行


前回の「ボールピープル」に引き続き海外サッカー紀行モノ。自分の中でこのジャンルが流行してる。単純に知らない事、違った発想が書いてある本は面白く、それは当然Jリーグよりも異文化の方が多い。本書ではドイツ、南米各国、オランダ、スペインの旅での出来事や各国のサッカー関係者への取材の様子が書かれており、どの国も長いサッカーの歴史で築いてきたオリジナルの哲学を持っているのが印象的。哲学は「システム」や「環境」と言い換える事もできるかもしれない。それは国によっても、クラブによっても違っているので正解などは存在しないのだろうけど、そういうものを確立できていない日本のサッカーファンとしては凄く羨ましく感じた。

著者は武智幸徳さん。日経新聞の記者。「新聞記者はサッカーの専門家じゃないし・・・」と考えるのは間違い。武智さんはずっと運動部という事もあり完全なるスペシャリストである事に加え、新聞記者ゆえの文章力、語彙力で本の世界に引き込ませられる。良い悪いではなく、好みの問題だと思うけど、エルゴラや個人ブログなど素人ライター全盛な中で「本物」はすごいなと改めて。

ちなみに、本書の中に出てくる取材対象も日経新聞のルートだからこそ取材できる大物もいたようで、そういう意味でも「新聞記者」が書くサッカー紀行はフリーのライターさんとは違った面白さがある。村上龍さんや万城目学さんなど作家さんのサッカー紀行本を読んだ時も思うけど、サッカー以外の事を沢山知っているという事はサッカーの記事を書いた時に深みを与えているような気がする。

サッカー依存症(武智幸徳)

今年は1試合くらいJリーグ休んで海外サッカーを観に行こうかな。

※過去の書評/読書感想のエントリーはこちら

ご意見、ご感想は下記SNSをご利用下さい

【書評/読書感想】「ボールピープル」(近藤篤)

きっと「唯一無二」とはこういう本の事を言うのだろうな。ジャンル的には「フォトブック」。サッカーにまつわる写真と、その写真に付け加えられる文章。この本に出てくる「ボールピープル」は基本的には一般人。サッカーを切り口に色んな人生を垣間見れる。外国での出来事も多く書かれているのだけど、サッカーを介する事で異文化じゃなくなる感覚。すっと自分の中に落ちてくる。悲惨な日常もサッカーを介する事で少し笑えたり、勇気を与えてくれたり。

メッセージ性があるような、ないような・・・表現が難しい本で・・・と思ったら、「あとがき」的な章で作者自身がこの本の事を上手く表現していた。

ボールピープル 書評

作りたかったのは自分の好きな写真がふんだんに使われていて、始まりも終わりも起承転結もなく、うざいメッセージや小難しい理屈は抜きで、すべてが渾然一体となっていて、どのページからでも読み始められ、でもそう簡単には読み切れず、なんだかよくわけがわからないけど、読み終わるとなにががわっかったような気になって、そしてなによりも、今までこんなサッカーの本はなかったね、といわれるような本だった

うん。この表現が一番しっくりくる。なんか壮大な事を言いたいのだけど、何も出てこない感じ。悪い意味ではなく。ただ、面白いのは間違いないし、何か心に残ってる。稚拙な表現になるけども、まだまだ自分が知らないサッカーの世界、魅力を教えてくれる一冊。

P.S.近藤篤さんはじめ、宇都宮徹壱さん、六川則夫さんらカメラマンの人が書くサッカーの文章は知的だし、面白いなぁ。カメラレンズ越しにサッカーを観ると違う世界があるのだろうか。

※過去の書評/読書感想のエントリーはこちら

ご意見、ご感想は下記SNSをご利用下さい

【書評/読書感想】「輪になれナニワ」(佐藤俊)

シーズンレビューを兼ねて今回はこの本の書評/読書感想を。著者や本のタイトルからも分かる通りガンバ本。内容的は1993年のJリーグ開幕から西野政権終了の2011年シーズンまでの簡単なシーズンレビューと、選手のコメントを多く引用する形での昨シーズン~今シーズンの深堀りレビュー。

選手のコメントを読む事で今シーズンの試合の映像が甦ってくるし、選手達がJ1での戦いを見据えてJ2のシーズンを過ごしていた事を改めて知る事ができる。ヤットの若手選手に対する「でも、みんな、本当に成長したかどうか・・・」という厳しいコメントが象徴するように、今年のガンバはまだ決して完成形ではない事を再認識させられた。

輪になれナニワ

月別に複数選手のコメントが紹介されているのだけど、一番意識が高いと感じたのは倉田。個人としても、チームとしても目指している目標地点が高い事が伺いしれる言葉が多数。チームの課題の捉え方も具体的で、キャプテンであるヤットは達観している印象もある中で、実質チームを引っ張るのは来シーズンも彼なのかなという気はした。

宇佐美も意識は高いのだけど、どちらかというと個人のプレーに対する向上心が中心で、FWというポジション柄から考えても、とりあえず宇佐美はそれでいい。

そして、今ちゃんが相変わらずマジメというか、ネガティブというか、反省中心の言葉ばかり発していたのも「らしい」感じがして面白かった。まあ、不調だった9月のレビュー担当だった事もあるけど、代表でも不調時期が重なっている事もあったようで、色々苦労した模様。ちなみに、一時期、立ち上がりに失点しまくった事に対しては慎重に試合に入った事が逆に相手に精神的優位を与えてしまったという分析。妙に説得力を感じてしまった。

「来年が本当の勝負だ」という気持ちはクラブ(強化部)も同じようで今シーズンオフの補強は積極的かつ的確。東口に、米倉に・・・未来を感じる選手も加入して、また大きな伸びしろがあるチームに生まれ変わりつつあるのはサポーターとしても応援のし甲斐倍増という感じ。あとは、本書で今ちゃんが宇佐美やフタにボールが入った時以外は攻撃のスイッチが入りづらい主旨のコメントを残していたり、ヤットが点の取れる外国人の必要性を説いていたりする事からも分かる通り、攻撃的な選手の補強が決まれば満点でしょう。

今からサカダイの補強診断特集号が楽しみになってきた。


※過去の書評/読書感想のエントリーはこちら

にほんブログ村 サッカーブログ ガンバ大阪へ
投票お願いします

 





FC2Ad

相続 会社設立

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。